2009年09月08日

ダウト〜あるカトリック学校で〜

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ダウト ~あるカトリック学校で~ [Blu-ray]
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2009-08-19

by G-Tools , 2009/09/08

'64年のアメリカ、とあるカトリック学校での複雑な心理劇を描いた作品。
メリルの鬼婆のような迫真の演技や、ホフマンとのド迫力の舌戦には息を飲みます。



そのメリル・ストリープ演じるシスター・アロイシアスは誰もが恐れる厳格な学校長。
神父の説教中にお喋りをする生徒がいれば容赦なく頭をひっぱたき、
シスター達の食事の時間においても、緊張を強いる存在。
女子生徒の髪飾りも、ボールペンの使用すらも、風紀やら文字が乱れるとして許さない。

フィリップ・シーモア・ホフマン演じるフリン神父は、
シスターとも子供達とも気さくにコミュニケーションを交わし、
また、特に禁欲を貫くでもなく、現代における新しいカトリックを目指す情熱も持つ。
表向きこそ温厚で人好きのする人物だが、どことなくゲイをにおわせる部分もある。
その自由な考え方から、アロイシアス校長とは対立している模様。

現在公開中の『ナイトミュージアム2』にも出演している、
個人的にお気に入りの女優、エイミー・アダムスは若きシスター・ジェイムズ役。
純粋で真摯な性格ながら、生徒には比較的寛容に接し、
また、フリン神父の目指すカトリックの方向性にも賛同する柔軟さもあり、
アロイシアス校長の手厳しさには多少異議のある様子。

ある日シスター・ジェイムズが授業を行っている最中、
黒人の少年・ドナルドがどういうわけか司祭館へと呼ばれた。
不思議に思いつつ、暫くして戻って来たドナルドの様子がおかしいことに彼女は気づく。
前後して、彼の下着をロッカーへしまう神父の姿も目にしたシスター・ジェイムズは校長室へ。
彼女は、戻ってきたドナルドから酒の匂いがしたことを校長に告げる。
以前からフリンに対して疑いの目を向けていた校長は、彼が小児愛好者であり、
ミサ用のワインを飲ませてドナルドに不適切な行為をしたと確信する。

そんな中、ジェイムズと校長が神父とドナルドの関係について話し合っていると、
ちょうどそこへ当のフリン神父が現れた。
二人の間の「噂話」を強く否定した彼は、元々折り合いの悪い校長への当てつけに、
「不寛容」という題での説教を以て反撃に出る。

それから間もないある冬の日、神父はシスター・ジェイムズと語り合う。
その中で、あの日から二人の間で揺れ動いていたジェイムズは、神父を信じることに。
対して、アロイシアス校長のフリンへの疑いの感情は日を追うごとに増していく。

はっきりした証拠を掴むため、ドナルドの母を学校へ呼んだシスター・アロイシアス。
しかし、彼の母から聞かれた言葉は意外なものだった。
「二人の間で何があったとしても、卒業する6月までのことです…問題は起こして欲しくない」
さらに、口ごもっていた母親から涙ながらに、ドナルドに男色の気があることを告げられる。
また、そうしたものに対して強い偏見のある、息子への暴力を厭わない夫は、
もしそのことを知ったらドナルドを殺してしまう、と恐れを口にする。
事を荒立てず、ドナルドを無事に卒業させることを約束した校長は、
何としてもフリンが黒であることを突き止め、彼を追い払おうと策をめぐらせる。

※ ※ ※

結局のところ、フリン神父が本当にドナルドと不純な関係にあったのか、なかったのか、
具体的な真相は最後まで明かされないままである。
全てが校長の「疑い」によってでっち上げられ、転任を強いられたともとれるし、
神父が自らの罪を暗に認め、学校を去っていったという風にもとれる。

「私は正しさを貫く、それが神から遠ざかることになっても」
そう語る校長はしかし、ラストで「私はこんなにもダウト(疑念)を抱いている…」と泣き崩れる。
その意味する「ダウト」は色々な解釈ができるけれど、
個人的には、追い払った神父が昇進というかたちで転任した事実に対して生じた、
カトリックへの信仰そのものに対する疑い、もしくは自ら悪徳とされることを、
執念をもって実行したことへの自身の良心に対する強い疑い、という風にみた。

また、現代のアメリカに対する暗喩として、イラク戦争に至った米国を校長に準えて、
「善きこと」とは一体何か、という問いについて考えさせる作品でもあるように思えた。

なかなか見えづらいカトリックの宗教観をおいたとしても、
みごたえのある元々のストーリーの複雑さに加え、メリルやホフマン、エイミー、
そして、出番はそこそこながら忘れがたい存在感を示す、
ドナルドの母親を演じるヴィオラ・デイヴィスなどなど…、
キャスト陣の圧倒的な演技力に引き込まれること間違いなしの一本です。

それにしても、こうして信仰と向かい合う内容の濃い映画が出てきたとなるとやはり、
現在制作中というM・スコセッシ監督による『沈黙』へも期待をしてやみません。


【参考】ダウト〜あるカトリック学校で〜
タグ:ダウト 映画
posted by garni at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画/ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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