2009年10月25日

「パイレーツ・ロック」を観た

パイレーツ・ロック 公式サイト

昨日は「ANVIL」、そして今日は「パイレーツ・ロック」を観賞しました。
時間は昼過ぎ、客層は若い人が多めでした。
ロックに関する映画、それも'60年代英国を舞台とした作品ともなれば、
やはり自然と惹きつけられてしまいます。
監督のリチャード・カーティスという人は知らなかったが、
Mr.ビーンの脚本などを手がけている人とのことで、なるほど言われてみれば…納得。

ドラッグと煙草の問題で高校を退学になったカールは、
母の友人であるクエンティンの元へやってくる。
そこは船上の海賊ラジオ局「ロック・ラジオ」、流す番組もやりたい放題なら、
アッチの方もヤりたい放題という、まさに大人の秘密基地と呼ぶに相応しい場所。

そういうわけで、劇中ではドラッグネタは僅かだが、下半身ネタは多めで、
のっけから禁止用語のFワード…つまり「F××K」の4文字を、
イギリス史上初、電波で垂れ流すという放送事故を起こしたり、
船の中の全員が全員そんな調子なのでもないが、
食事を受け持つレズの女性以外は野郎ばかりという船内であるだけに、
そこらで平気で猥談に花を咲かせたりもしている。
そんなDJ達の茶目っ気が下品さをユーモアで包んでしまうせいで、
どこか憎めず、また笑えてもしまうところ…とりわけ物語は、
女の気まぐれに心をかき乱される男の悲哀を強調しているように思う。

例えば、不定期に船へとやってくるグルーピーを乗せたボートに色めき立つDJ軍団。
好色メガネデブのデイヴはカールの筆下ろしにと自分の女をあてがうが、失敗。
カールはさらに、クエンティンの姪のデジリーとせっかく良い雰囲気になったものの、
目を離した隙にデイヴに寝取られ、またもおあずけを食らう羽目に…。
プラトニックを貫くサイモンはといえば、船で知り合った女性と結婚したは良いが、
実は彼女は惚れたギャヴィンが目当てでやって来たのだった。
ただ、独身であることが信条のギャヴィンとは結婚できないので、
偶々サイモンを選んで名目上の夫にした上で、
その実ギャヴィンと共に船で暮らすことを狙っていたトンデモ女だったのだ。

そうこうする内に政府は海賊ラジオ局を取り潰すための法案を通し、
いよいよ彼らに追い込みをかける手はずを整えるが、
気ままなロック・ラジオの面々は、それすらもおちょくり…。

個人的に「ダウト」での神父役の印象がまだ脳裡に焼き付いている、
名優フィリップ・シーモア・ホフマンだが、
上映もまだ数分というところで、そのイメージはキンクスの轟音と共に吹き飛ばされた。
ここでの彼の役どころは破天荒なロック・ラジオの看板DJ・カウントで、
ありきたりな表現をすれば「ちょいワルオヤジ」そのものという感じ。

とにかく格好いいのはクエンティン役のビル・ナイと、
カウントが対抗心を露わにするギャヴィン役のリス・エヴァンス。
何しろギャヴィンとカウントの「チキン・レース」は一番の見物。
いや、両人とも身体張ってますな…そしてクエンティンに、
「我々のファンにしてはダサイ格好だな」なんて言われたらギクッとせざるを得ない。
また、好色のデイヴ役のニック・フロスト、シンプル・サイモン役のクリス・オダウド、
どちらもクセのあるキャラクターを愛らしさも交えて好演していたし、
出番こそ少ないが、カールの母役のエマ・トンプソンは本作の最重要人物である。
他にも、ここには書ききれないほど、キャストひとりひとりの演技が輝いてました。

映像の方もカラフルで洒落ています。
夢中でラジオにかじりつくリスナー達の画のモザイク、
パブで酔いどれながら通りで踊るDJ達など、まるでPVのような構成が、
そこここでフィーチャーされていて心に残ります。
注目の選曲は、英国が舞台としているだけにブリティッシュ色が濃く、
またずいぶんと渋めだな〜と感じもしたし、ロックにまつわる薀蓄を求める向きには、
ちと物足りないかなという思いもなくはありませんが…、
場面場面で絶妙にストーリーと曲が絡み合うあたりはユーモアたっぷりです。

まあ、下ネタの気恥ずかしさを自分の中だけでやり過ごせる点では、
どちらかといえば一人で観る方が気楽に楽しめるかも知れません。
大音響と共に沈没する船のシーンの迫力は、やはり劇場で体感して欲しいです。

それにしても、原題「The Boat That Rocked」…「『ロック』した船」とは。
見終えた後に改めてタイトルを振り返ると、なかなかうまい。

【参考】パイレーツ・ロック
posted by garni at 21:34 | Comment(0) | TrackBack(2) | 映画/ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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