'70年発表。いよいよRoger WatersのFloydらしい、
皮肉っぽくて、内省的で、かつ壮大な世界が本格的になった大傑作。
レコード・ジャケット、というものが、
アート作品として鑑賞されるだけの価値あるものだと、
最初に気づかせてくれたのがAndy Warholだとすると、
一見してシュールなジャケットと、
中に潜む音楽が聴く人間の中で絶妙に絡み合うことで、
もっともらしく、深遠なイメージを描き出してしまうにまで、
聴き手の想像力を押し広げてくれたのがヒプノシスかもしれない。
一度見たら絶対忘れないインパクトを放つジャケットは、
中身のサウンドと関係ないもの(牛の写真)を、
敢えてぶつけようというのがコンセプトだったとの話。
ルルベル三世という名前(?)のこの乳牛の、
のほほんとした表情が重厚なタイトル曲を耳にしながらだと、
実はとてつもないメッセージ性を帯びているようにも見えてきて、
しかし結局のところ実態の掴めない感動が押し寄せる内容。
ロン・ギーシンの指揮によるブラスとコーラス、
メンバーの演奏(特にギルモア)の叙情性が実にドラマチックだが、
何より、19分あたりでの混沌とした演奏からメイン・テーマである
「父の叫び」のメロディが立ち上がり、
「再現」へと至る部分が個人的にはこの曲の最大の見せ場だと思う。
まるで「宇宙戦艦ヤマト」でも観ているような気分というか…
もっとも、メンバー自身はこの出来に不満を持っていたらしく、
再録も考えていたが、本バージョンでも充分すぎるほどの名曲。
他にも今作では、リック・ライト作の#3「サマー '68」における、
CSN&Yやサイモンとガーファンクルなんかを思わせる
フォークロック風の曲調から熱っぽくなっていく展開や、
レコーディング・エンジニアのアラン・パーソンズの名前が登場する、
#5「アランのサイケデリック・ブレークファースト」のような、
大胆で奇妙な楽曲も聴ける。
ちなみに、この曲には調理不可能な謎のレシピも付いているが…
仮に作れたとしても、とても食えたものでは…
最後にありきたりですが、
『Atom Heart Mother』→『原子心母』という訳はやっぱり凄い!
【参考】Pink Floyd - Wikipedia (ja)
【参考】Hipgnosis - Wikipedia (en)
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2007年04月01日
2007年03月05日
Discipline

- ディシプリン(紙ジャケット仕様)
- キング・クリムゾン
- WHDエンタテインメント 2006-07-26
- 曲名リスト
- エレファント・トーク
- フレーム・バイ・フレーム
- マッテ・クダサイ
- インディシプリン
- セラ・ハン・ジンジート
- ザ・シェルタリング・スカイ
- ディシプリン
- マッテ・クダサイ(オルタネイティブ・ヴァージョン)
by G-Tools , 2007/03/05
世界中にそのサウンドを鳴らせているRobert Fripp氏ですが、
彼が60年代〜70年代と80年代以降で最も変化させたのが
おそらくギターへのアプローチなのかもしれない。
ここではクリーントーンでの細かいフレーズや、
ヒョロヒョロした抽象的なソロが殆どを占めていて
テクニカルなのは相変わらずですが、
そのベクトルがリズムと空間を強く意識した方へと
大きく方向転換しているのが特徴的です
Adrian Belewが加入した影響も大きいかと思いますが
『Red』後の活動休止中、David BowieにPeter Gabriel、
そして盟友であるBrian Enoなど、
数々のクリエイティブなアーティスト達と共演した事も
Fripp氏には大いに刺激になったのであろうと思われます。
余談ですが、Windows 95の起動音「The Microsoft Sound」
(ピアノとシンセの音がフェードインしてくるアレ)は
Enoの手によるものだったそうで、不思議な縁ですね。
元々「Discipline」というバンドで活動する予定だったのが
結果的にKing Crimson名義に変わったため、
ちょっと聴くと別バンドのような表情が印象的。
#4「Indiscipline」のようなフリーキーさも一応は出しているものの
70年代までのCrimsonが見せていたような、
重くて叙情的なサウンドからの激変ぶりは凄いものがあります
僕自身『Larks〜』『Starless〜』『Red』ほどは聴いてないかも…
しかしサウンド、リズムに関して非常に面白い作品。
#1「Elephant Talk」でのTony Levinによる変則的なフレージング、
途中で聴けるBelewの象の鳴き声を模したアニマル・サウンド。
#2「Frame by Frame」での目が回るような高速のシーケンス、
Belewの奇妙な語りの裏で、
灼熱のビートが展開される#5「Thela Hun Ginjeet」…
そして本作でも一番の聴きものの#7「Discipline」
King Crimson - Discipline
機械的なまでに正確なミニマル・フレーズを、
人間が演奏することによって生じるうねりが醸し出す
幻覚的な展開がたまらない…それにしても、
BelewにしろLevinにしろBill Brufordにしろ、
演奏中に笑顔すら見えるのだから恐ろしい。
しかし、90'sクリムゾンのライブ映像で、
同曲を演奏してる様子を観たら結構ミスがあったのを考えると、
この余裕の裏には物凄い「鍛錬」があったことが想像できる
ディシプリン・クリムゾンは、
「リズム」にこだわった曲が多く見られますが
視覚的な要素までが絶妙に絡み合い、
高揚感を強力に誘発させるこの魅力は
今作『Discipline』が1stでありながら、最高峰でしょう!
【参考】King Crimson - Wikipedia (en)
【参考】King Crimson Data Base
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2006年11月30日
Tarkus
火山の噴火と共に誕生した地上最強の生物兵器・タルカス
この架空の存在であるアルマジロ戦車が、
群がる敵をことごとくその主砲で撃滅させていき
聖獣・マンティコアと死闘を繰り広げる…
内ジャケットにはそんな絵物語が描かれている
本作前半を占める20分を超える大作#1「Tarkus」
Emersonによる履帯の唸りが巻き起こす、
地響きのようなオルガン・リフとムーグ・シンセが生み出す
マグマの咆吼が激烈な印象を与える「Eruption」に始まり
Lakeがドラマチックに歌い上げる「Stones of Years」、
そして再びアグレッシブなEmersonのパートへ…
という、静と動が交錯する組曲ですが
この『Tarkus』はあまりにこの表題曲が凄すぎて、
正直他の曲があまり印象に残らない。
とにかくLakeのパートがゆったりした感じで
その突っ走ってくれなさに若干物足りなさを覚えるほど、
Emersonのパートはおそらく、
elpの作品の中でもNo.1のハイテンションぶりです
ライブ盤『Welcome Back My Friends〜』では
同曲もスタジオ盤以上にスピードアップし、
Lakeのパートも中だるみ的印象は受けない。
さらに「Battlefield」ではクリムゾンの
"Confusion will be my epitaph"の一節まで飛び出してびっくり。
ここでの「Aquatarkus」も強烈で
「Karn Evil #9」の第二楽章を思わせるような、
プリミティブなアドリブパートからメインテーマまで
一気に旋回する展開は圧巻の一言です
そういえば、elpが演奏している映像はなかったのですが
「Eruption」を完コピしている人たちの映像がありました
Tarkus (Eruption)
この曲を生で聴けたらなあ…余談ですが、
このレゴで作られたTarkus、いい味出てます!!
【関連記事】Pictures At An Exhibition
この架空の存在であるアルマジロ戦車が、
群がる敵をことごとくその主砲で撃滅させていき
聖獣・マンティコアと死闘を繰り広げる…
内ジャケットにはそんな絵物語が描かれている
本作前半を占める20分を超える大作#1「Tarkus」
Emersonによる履帯の唸りが巻き起こす、
地響きのようなオルガン・リフとムーグ・シンセが生み出す
マグマの咆吼が激烈な印象を与える「Eruption」に始まり
Lakeがドラマチックに歌い上げる「Stones of Years」、
そして再びアグレッシブなEmersonのパートへ…
という、静と動が交錯する組曲ですが
この『Tarkus』はあまりにこの表題曲が凄すぎて、
正直他の曲があまり印象に残らない。
とにかくLakeのパートがゆったりした感じで
その突っ走ってくれなさに若干物足りなさを覚えるほど、
Emersonのパートはおそらく、
elpの作品の中でもNo.1のハイテンションぶりです
ライブ盤『Welcome Back My Friends〜』では
同曲もスタジオ盤以上にスピードアップし、
Lakeのパートも中だるみ的印象は受けない。
さらに「Battlefield」ではクリムゾンの
"Confusion will be my epitaph"の一節まで飛び出してびっくり。
ここでの「Aquatarkus」も強烈で
「Karn Evil #9」の第二楽章を思わせるような、
プリミティブなアドリブパートからメインテーマまで
一気に旋回する展開は圧巻の一言です
そういえば、elpが演奏している映像はなかったのですが
「Eruption」を完コピしている人たちの映像がありました
Tarkus (Eruption)
この曲を生で聴けたらなあ…余談ですが、
このレゴで作られたTarkus、いい味出てます!!
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